沙中の回廊

沙中の回廊〈上〉 (文春文庫)

沙中の回廊〈上〉 (文春文庫)

 久しぶりの読書三昧の一日であった。今から2600年前の中国、春秋時代黄河北岸の晋という国の「士会」という人の物語である。面白く、上下巻、先日半分読んでいた残りを一気に読んでしまった。この人の小説を読むのも久しぶりだが、読後に一種独特の爽快感を持ってしまう。人の見方、自分の制し方、各種の登場人物が見事に書き分けられ、読書中、良きにつけ悪しきにつけ、常に共感をもって過ごすことが出来る。以前「夏王朝」を扱った小説も読んだが、この人が参考にしたのは中国の古文書。このような昔のことが、文書になって残されている中国とはすごいところである。楽しい読書であった。また何か借りて読みたいものである。